ケース11 ノークレーム、ノーリターンでお願いします。


Q11:ノークレーム、ノーリターンでお願いします。

インターネットオークションやフリマアプリでよく目にする「ノークレーム、ノーリターン」は、どんな場合でも有効なんでしょうか。


A1:たとえば、次のようなケースがよくあります。
インターネットオークションサイトでブランド品を注文しました。サイトに掲載されていた商品画像にも傷の状態がわかるものが掲載されていましたが、さほど気になる程度のものではありませんでしたし、書かれている商品説明にも問題はありませんでした。しかし、届いたブランド品を見ると、画像にはなかった大きな傷がいくつもありました。説明には「ノークレーム、ノーリターンでお願いします。」と書かれていますが、返品・返金はしてもらえないんでしょうか?

「ブランド品に大きな傷などがあれば、多くの人は購入はしない。」と考えます。勘違い(錯誤(さくご))があったら、その取引は無効となります(錯誤無効)。説明に書かれていなかった大きな傷は、「隠れた(通常の注意を払っても発見できない)瑕疵(不良品)」にあてはまります。出品者が傷を知りながら、わざと(故意に)傷が映らないようにして撮影した写真を掲載したからです。このような場合、出品者は不良品を担保(保証や修理、交換や返品)しなければいけません。「ノークレーム、ノーリターン」でも、民法570条の「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」に該当します。よって、返品・返金や損害賠償を請求できます。しかし、返金されるかどうかは別問題です。わざと(故意に)傷が映らないようにして撮影した写真を掲載するような出品者が返品・返金にスムーズに応じるとは思えません。ちなみに、「ノークレーム、ノーリターン」は「NCNR」と略すこともあるようです。

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